クロアチア出身リディア・ドクゾヴィッチ、質素で温かなスラヴの伝統歌を歌う

Lidija Dokuzovic - I've Heard

リディア・ドクゾヴィッチ、シンプルな編成でスラヴの伝統曲を歌う

これまでAfion、Zykopops、Anfi Trionといったバンドで歌ってきたクロアチア出身の歌手リディア・ドクゾヴィッチ(Lidija Dokuzovic)が、ギター、ダブルベースとの自身のトリオで 録音したアルバム『I’ve Heard』は、南スラヴの伝統的な音楽に焦点を当てた繊細で郷愁感のある美しい作品だ。

収録曲の多くはクロアチアの伝統曲だが、セルビア、コソボ、北マケドニア、ギリシャなど南スラヴ周辺の伝統曲も含まれている。ギターとマンドーラを弾くのはリディア・ドクゾヴィッチのパートナーで、クロアチアにルーツを持つスウェーデン出身のアラン・スクローベ(Allan Skrobe)。彼の伝統に根ざした煌びやかな弦の音と、同じくスウェーデン人のベース奏者イェスパー・ノルドベリ(Jesper Nordberg)がピチカートとアルコで時にはチェロのように流麗に表現する中低域のアンサンブルがリディア・ドクゾヴィッチの芯のあるヴォーカルを支える。

歌とベースとギターという編成のためだろうか、それともほとんど短調の楽曲から受ける印象からだろうか、どこか物静かで寂しげな印象がつよい音楽だ。だがそんな中でも随所に目の奥に秘めた激しい感情の炎が垣間見え、質素ながらも脈々と受け継がれてきたスラヴの人々の日々の営みが伝わってくるようだ。この穏やかな作品は現在はスウェーデンに住むリディアとアラン・スクローベの故郷への想いからつくられているのかもしれない。

(11)「Snocka Mi Je Dragi Pod Oblok」

Allan Skrobe – guitar, mandora
Lidija Dokuzović – vocal
Jesper Nordberg – contrabass

Lidija Dokuzovic - I've Heard
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