南アフリカ現代ジャズの立役者。サックス/フルート奏者ントゥンジ・ンヴブの初リーダー作

Mthunzi Mvubu - The 1st Gospel

アルトサックス/フルート奏者 Mthunzi Mvubu 初のリーダー作

南アフリカのアルトサックス/フルート奏者、ントゥンジ・ンヴブ(Mthunzi Mvubu)によるデビュー作『The 1st Gospel』がリリースされた。注目の若手ベーシストのダリス・ンドラジ(Dalisu Ndlazi)中堅ピアニストのアフリカ・ンキーゼ(Afrika Mkhize)、数曲でゲスト参加するンプミ・ダラミニ(Mpumi Dhlamini)など、ハイレベルな南アフリカの現行ジャズシーンを象徴するようなメンバーが集い、多様なプレイを聴かせてくれる好盤だ。

トリッキーなリズム遊びのようなテーマが楽しい冒頭の(1)「Zig Zag」は9分半におよぶ大作だが、中間部でのシンセサイザーを効果的に用いた空間的音響が良いアクセントになっており、ドープ具合はなかなか。

ントゥンジ・ンヴブがフルートを吹くタイトルチューン(3)「The 1st Gospel」などは、まるでビル・エヴァンス、スコット・ラファロ、ポール・モチアンの伝説的トリオにヒューバート・ロウズが加わったかのような耽美な演奏。バンドのインタープレイや各人のソロも素晴らしく、今作のベスト・トラックのひとつであることは間違いない。

(3)「The 1st Gospel」

ラストの(10)「7 Kings」は南アフリカらしいハード・バップとアフリカの伝統音楽、そして現代ジャズのサウンド・メイクのセンスが混ざり合ったような多幸感のあるトラックで、今作の締めくくりに相応しい仕上がりだ。

ティーブレイク的に挿入される(4)「Shwele, Pt. 1」、(8)「Shwele, Pt. 2」を除けばすべて8分前後以上という長尺の演奏だが、どの曲にも聴かせどころがあり飽きさせない。

記事を書いていて気づいたのだが、当サイトでは既にントゥンジ・ンヴブが参加した作品を4枚も紹介していた(後述の「関連記事」のところでそれらのリンクを貼っている)。
それだけ現在の南アフリカのジャズシーンにおいて欠かせない存在となっている多才な音楽家にこれからも注目したい。

Mthunzi Mvubu プロフィール

南アフリカを拠点とするサックス奏者/フルート奏者ントゥンジ・ンヴブは、14歳の頃にトランペット奏者の故ジョニー・メコア(Johnny Mekoa)が主宰する音楽アカデミーでそのキャリアをスタートさせた。
MAG(Music Academy of Gauteng)ジャズ・オーケストラに在籍中にはイギリス、スウェーデン、アメリカ、ドイツ、ロシアなどの国をツアー。これまでにリオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)やシャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)など20枚以上のアルバムに参加してきた。

今作『The 1st Gospel』は初めてのリーダー作だが、サイドマンに留まらない大きな可能性を感じさせる。

Mthunzi Mvubu – alto saxophone, flute, vocals
Tobias Meinhart – tenor saxophone
Mpumi Dhlamini – tenor saxophone (1), B Hammond Organ (9)
Sphelelo Mazibuko – drums, vocals
Dalisu Ndlazi – double bass, vocals
Afrika Mkhize – piano, synthesizers, vocals

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