ウォルフガング・ムースピール参加!ドイツの女性ドラマー、エヴァ・クレッセの独創的新譜

Eva Klesse Quartett - Songs Against Loneliness

ドイツの気鋭ドラマー、エヴァ・クレッセ新作

ドイツのドラマー/作曲家、エヴァ・クレッセ(Eva Klesse)の5枚目となる新譜『Songs Against Loneliness』は独自の深みを湛えた欧州ジャズ作品だ。自身のレギュラー・カルテットに加えオーストリア出身のギタリスト、ウォルフガング・ムースピール(Wolfgang Muthspiel)が全面的に参加している。

エヴァ・クレッセのドラミングは空間を最大限に活用する独特のスタイルが特徴的で、単にリズムを刻む役割ではなく、ほかの楽器奏者との音楽的な会話を最重視する。俗にいうインタープレイの極致がこのアンサンブルにはあり、(1)「Minor Is What I Feel」からその美的感覚の虜になってしまう。

(1)「Minor Is What I Feel」

楽曲はカルテットのメンバーそれぞれが持ち寄っている。
叙情的な曲調の中でロシア系ドイツ人サックス奏者エフゲニー・リング(Evgeny Ring)の熱量を露わにしたプレイが印象的な(2)「Glory Glory Misfits」、マルク・ミューエルバウアー(Marc Muellbauer)のベースが終始魅力的な(3)「Past, Tense」など、アルバムを通して熱量も安定感もある高度なアンサンブルが続く。

リッチー・バイラーク(Richie Beirach)に師事したというピアノのフィリップ・フリシュコルン(Philip Frischkorn)も終始場をつくる。今作では曲によってはウォルフガング・ムースピールのギターが入るためアンサンブルでの演奏表現も多彩に。ウォルフガングがソロを弾くときはコード主体のバッキングに回ったり、逆にウォルフガングがバッキングに回りフィリップがソロを弾くときには左手のコードの重なりを最小限に留めるといったアンサンブル性を重視したプレイの工夫が面白い。

Eva Klesse 略歴

エヴァ・クレッセは1986年ドイツ・ヴェルル生まれ。ドラムスは11歳から演奏を始めた。
大学で医学を学ぶ傍ら、ジャズに興味を持ちワイマール、ライプツィヒ、パリでジャズドラムを学び2013年にダブルディプロマ(2校の卒業資格)を取得。

2013年に結成されたクレッセも作曲を担当するカルテットで、同年ライプツィヒ・ジャズ・ヤング・タレント賞を受賞。2014年にリリースされたデビュー アルバム『Xenon』ではEcho Jazzの「Newcomer of the Year」部門を受賞した。さらに2017年にはウェストファリア・ジャズ賞を受賞し、名実ともにドイツを代表する女性ドラマーとなっている。

2018年にドイツの名門ハノーファー音楽演劇メディア大学のドイツ人として初めてジャズの器楽教授に任命された。
彼女は「ドラムの演奏は、リズムとメロディ、大きな身振りと小さなディテール、エネルギーと落ち着きのバランスが重要です」と語っている。

(10)「Du & Ich」のカルテットでのライヴ演奏動画。

Eva Klesse Quartett :
Evgeny Ring – saxophone
Philip Frischkorn – piano
Marc Muellbauer – double bass
Eva Klesse – drums

Featured Guest :
Wolfgang Muthspiel – guitar

Eva Klesse Quartett - Songs Against Loneliness
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