LAジャズ新世代、アンソニー・フォング新譜『What Does it Mean to be Free?』

Anthony Fung - What Does it Mean to be Free?

LAジャズ新世代、アンソニー・フォング新譜

パンデミック、戦争、ナショナリズムの席巻、さまざまな技術革新、人権問題… 社会全体が大きく変動する時代に発表されたカナダ出身のドラマー/作曲家、アンソニー・フォング(Anthony Fung)の新譜『What Does it Mean to be Free?』。多くのゲストが参加し、バリエーション豊かな即興が繰り広げられる作品ゆえに、想像力が刺激される。

全9曲は楽曲ごとに微妙に編成を変えている。
(1)「What Does it Mean to be Free?」はアルトサックス奏者デヴィッド・ビニー(David Binney)とギタリストのアンドリュー・レンフロー(Andrew Renfroe)をフィーチュアし、両者のスリリングな掛け合いが楽しめる。楽曲の後半では鍵盤奏者のポール・コーニッシュ(Paul Cornish)のソロによって場面転換が図られる。

近年マルチな活躍を見せるブラクストン・クック(Braxton Cook)は(3)「Defiance」に参加。孤高のアルトサックス独奏も素晴らしいが、中間部で聴かれるルカ・アレマンノ(Luca Alemanno)のアドリブソロもハッとするような美しさだ。彼はNYで開催されたISB Double Bass Competitionで優勝という実力の持ち主らしい。

(7)「Roots」はコンガ奏者オスカー・クルーズ(Oscar Cruz)参加の絶品ラテンジャズで、ここではアルバム全体を通じて参加し、オーケストラ作編曲なども得意とする若きピアニストのルカ・メンドーサ(Luca Mendoza)のソロもその真価を発揮している。

(9)「Sightseeing」はサックス奏者ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)の人気曲のカヴァー。今作中もっともアンソニー・フォングのドラムスが目立つ演奏となっており、彼の創造的なプレイが堪能できる。

ウェザーレポートの名曲のカヴァー(9)「Sightseeing」ライヴ版。

Anthony Fung プロフィール

アンソニー・フォングはオンタリオ州リッチモンドヒルに生まれ育ち、10歳の頃からドラムを始めた。 JAZZ.FM91 Youth Big Bandで活動した後、ダニロ・ペレス(Danilo Perez)の指導のもとバークリー音楽大学で学んだ。その後はカリフォルニアのセロニアス・モンク・ジャズ・インスティテュート(現在はハービー・ハンコック・ジャズ・インスティテュー)で経験を積み、これまでにウェイン・ショーター(Wayne Shorter)、エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)、ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)、テラス・マーティン(Terrace Martin)、ミゲル・ゼノン(Miguel Zenón)、ジョン・ビーズリー(John Beasley)といった音楽家たちと共演。

Anthony Fung – drums
David Binney – alto saxophone (1, 2, 4, 6, 7, 8, 9)
Luca Alemanno – bass (1-4, 6-9)
Luca Mendoza – piano
Andrew Renfroe – guitar (1)
Paul Cornish – keyboards (1)
Braxton Cook – alto saxophone (3)
Marcel Camargo – guitar (6)
Oscar Cruz – congas (7)
Roni Eytan – harmonica (8)

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