スウェーデンのSSWスミエ・ナガノ 病を経て命と向き合った、儚げな北欧フォーク作『Stardust In Valleys』

Sumie - Stardust In Valleys

Sumie 9年ぶり新譜『Stardust In Valleys』

スウェーデンのシンガーソングライター、スミエSumie、本名サンドラ・スミエ・ナガノ)の9年ぶりとなるアルバム『Stardust In Valleys』は、ギターと声を中心としたシンプルなサウンドによって、驚くほど豊かな感情を包み込んだ優れた北欧フォーク作品だ。

前作以降、彼女は深刻な病気を経験し、「死と共に生きる感覚」を抱えながら創作に向き合うようになったという。今作は限りある命という現実を省みつつ、諸行無常の美しさを捉えた深く個人的で啓示的な作品と位置づけられており、健康問題による苦しみが創造の礎となっている。とは言うものの、音楽自体に“暗さ”はほとんど感じられず、むしろ絶望よりも受容に近い穏やかな優しさを感じさせる。

プロデューサーはフィリップ・レイマン(Filip Leyman)で、録音はヨーテボリ近郊の田舎にある彼の家で、家族や友人も招いた1週間の集中的セッションを通じて行われた。過剰な音響処理はせず、リビングルームのようなリラックスした空気感が全体を包む。スミエの息子オリバーは(7)「Light Lee」で、娘ナオミも(10)「Nina」で共に歌っており、スミエ自身も家族の参加が「何よりも一番嬉しかった」と語る。

(3)「Dahlia」

ノルウェー出身のヘーゲ・ヴェンデルブー(Hege Wendelbo)によるアルバムのアートワークは、スミエの音楽や歌詞を通して感じ取った彼女の旅路を表現したもの。スミエの友人である彼女は、極度の混乱を静かに受け入れるような強い印象を与えるアートワークについて、こう語っている:

どの曲がきっかけでこのモチーフが生まれたのか、今となっては思い出せません。心に残っているのは、彼女の家の近くの森を散策したこと、クロウタドリのさえずり、自然について語る彼女の姿、そして、自然に触れられない部屋に閉じ込められていた状態から、再び自然を両手を広げて迎え入れることになった、あの突然の変化です。

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ラストの(13)「My Arms」に混ざる小鳥の鳴き声などの環境音が、心地よい余韻を残してくれる。

Sumie プロフィール

スミエ(本名:Sandra Sumie Nagano)は、スウェーデン・ヨーテボリ出身のシンガーソングライター。日本人の父とスウェーデン人の母を持ち、北欧フォークと日本的な感性が溶け合う静謐な音楽世界で知られる。2008年より自宅録音を中心に活動を開始し、2013年にBella Unionからセルフタイトル作『Sumie』を発表。ミニマルなアコースティック・サウンドと透明感のある歌声が高く評価された。続く『Lost in Light』(2017年)では、より映画的で深い陰影をたたえた表現へと発展。約9年ぶりとなる2026年作『Stardust In Valleys』では、健康上の困難や死生観と向き合った経験をもとに、儚さの中に宿る光を描き出している。姉はグラミー賞ノミネートの経験があるスウェーデンのエレクトロニック・バンド「Little Dragon」のヴォーカリスト、ユキミ・ナガノ(Yukimi Nagano)。

Sandra Sumie Nagano – guitar, vocal
Filip Leyman – drums, bass, keyboard
Karl Vento – guitar
Albert af Ekenstam – vocal (5)
Max Lindahl – trumpet (5, 12)
Emma Strååt – strings arrangement (10)

Sumie - Stardust In Valleys
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