バルセロナ・ミクスチャーのカリスマMacaco、ラテン圏の多様なゲストを迎えた新譜

Macaco - Vuélame el Corazón

マカコ新作『Vuélame el Corazón』

バルセロナ・ミクスチャーのカリスマ、マカコ(Macaco) の2022年新作『Vuélame el Corazón』は、スペイン語文化圏の多様なミュージシャンをゲストに迎え、彼の魅力である雑多な音楽性はそのままに、年の功からか、以前と比べると洗練され少し落ち着いた印象のある音楽を聴かせてくれる。15曲すべてに抗えない魅力と深みがあり、近年のバルセロナの音楽シーンの中でも随一の作品と言っても過言ではないように思う。

ますます渋みを増すマカコの声も圧倒的に魅力なのだが、今作の注目は実に多様なゲスト陣だ。全15曲中、(1)「El Bicho del Amor」を除く全曲で異なるアーティストをフィーチュア。これまでも様々なアーティストたちとの繋がりから自身の音楽性を磨いてきたマカコらしい、素敵なコラボレーションを実現している。

(2)「Una Conexión」ではドミニカ共和国出身で2017年ラテン・グラミー賞で3部門を受賞したSSWビセンテ・ガルシア(Vicente García)を迎え、パルマ(手拍子)やカホンといったフラメンコ的要素と、ブリティッシュ・フォークを想起させるシンプルなコード進行、2本のガットギターとピアノの優しい音色が混ざり合った彼らしい世界観を表現。

ビセンテ・ガルシアをフィーチュアした(2)「Una Conexión」

メキシコのSSW/女優ヒメナ・サリニャーナ(Ximena Sariñana)が可憐な歌声を聴かせる(3)「A un Paso de Baile de Ti」に、バルセロナの兄弟デュオ、エストパ(Estopa)を迎え70年代のレトロなルンバの雰囲気と現代的なサウンド感覚を伴い、MVも拘った(4)「Me Lía」も印象的だ。

(4)「Me Lía」

タイプライターの音がアクセントになる(6)「Culpable」にはアルゼンチンのSSWケヴィン・ヨハンセン(Kevin Johansen)が参加。

今作中もっともフラメンコな(8)「El Cuerpo No Miente」には人気男女デュオ、フューエル・ファンダンゴ(Fuel Fandango)を迎えており、ダンサーを交えたMVも啓示的で素晴らしい。

(8)「El Cuerpo No Miente」

(9)「Arenas Movedizas」にはバルセロナの若きSSW/トロンボーン奏者のリタ・パイエス(Rita Payés)が参加し、マカコとともに持ち前の儚げで美しい歌唱を聴かせてくれる。

(10)「A Tu Manera」はボブ・マーリーの息子であるキマーニ・マーリー(Ky-Mani Marley)を迎えた純粋なレゲエ。「あなたが愛する人生を生きなさい、あなたが生きている人生を愛しなさい」と歌うこの曲では、欲求不満や嫉妬を伴う他人との比較ではなく、自分自身の人生を生きる重要性を説く。

(10)「A Tu Manera」

フラメンコとアルゼンチン・タンゴの幸せな邂逅といえる(11)「Vuélame el Corazón」ではコノシエンド・ルシア(Conociendo Rusia)をフィーチュア。つづく(12)「Tirititran」ではスペイン北東部ガリシアのフォーク・トリオTanxugueirasをゲストに迎えている。

スペインの女優/歌手アナ・メナ(Ana Mena)を迎えた(14)「La Guerra de los Besos」

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