ハファエル・ドゥトラ、ミナス発ブラジリアン・ロックの“今”を端的に示す待望の新作『Agora』

Rafael Dutra - Agora

ミナス発現代ロックの鬼才ハファエル・ドゥトラ、待望の新譜

2014年のデビュー作『Oásis de Vidro』が高く評価されたブラジル・ミナスジェライスのSSWハファエル・ドゥトラ(Rafael Dutra)が待望の新作『Agora』をリリースした。今作もハファエル・マルチニ(Rafael Martini, key)、ユリ・ヴェラスコ(Yuri Vellasco, ds)、ガブリエル・ブルース(Gabriel Bruce, ds)、ペドロ・ドゥランエス(Pedro Durães, electronics)、フェリピ・ヴィラス・ボアス(Felipe Vilas Boas, gt)といった現代ミナス音楽のキーマンたちを迎え、衝撃をもって受け入れられた前作にも負けず劣らずのミナス発の特徴的なロックを聴かせてくれる注目作となっている。

1988年生まれのハファエル・ドゥトラはほぼ同世代のアントニオ・ロウレイロやアレシャンドリ・アンドレスら“ミナス新世代”の面々と比べると幾分ロック志向が強いが、やはりブラジルで脈々と受け継がれてきた豊かな音楽的土壌に根ざしており、さらにジャズやクラシックのエッセンスも少なからず入り込んでいる音楽性が特長。今作もハファエル・ドゥトラ自身によるアンプリファイドなギターサウンドを軸にしながらもエレクトロニックやストリングスの使用、創意工夫を凝らしたアレンジなど聴きどころは満載だ。

(1)「Vento Bom」

ストリングスも交えた重厚なブラジリアン・ロック(2)「Dentro, Aqui」、ゲストに女性歌手マリアナ・カヴァネラス(Mariana Cavanellas)を迎えた(4)「Doce Ludibriar」、クリストフ・シルヴァ(Kristoff Silva)参加の(6)「Soma, Avesso e Fim」などなど、知的かつエネルギッシュ、そしてカオスの一歩寸前を攻めるブラジリアン・オルタナティヴ・ロックの王道を往くサウンドがどこまでも突き抜けており、最高に気持ちいい一枚だ。タイトルのAgora = “今”のとおり、ミナス発の現代の音楽を端的に示す秀作と言えるだろう。

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