自然体で紡ぐ“バンドの音の写真”。マーク・ジュリアナが新譜で魅せたジャズ・カルテットの現在地

Mark Guiliana - Mischief

実験的な前作『the sound of listening』と対を成す新譜

米国を代表するドラマー、マーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)の新譜『Mischief』。2022年10月にリリースされた前作『the sound of listening』と同じ2022年3月のブルックリンのバンカー・スタジオでのセッションで収録されたもので、つながりのあるジャケット・デザインも含め前作の兄弟アルバムという位置付けだが、前作がエレクトロニックの導入などこのカルテットでの新しい試みも取り入れられていたことと比較すると、こちらは全編アコースティックでオーバーダブもなく、よりリラックスした内容になっている。

ピアノにイスラエル出身のシャイ・マエストロ(Shai Maestro)、ベースとサックスは共に米国出身のクリス・モリッシー(Chris Morrissey)とジェイソン・リグビー(Jason Rigby)という布陣。このメンバーは最初の録音である『Family First』から数えて既に8年間のバンドメイトで、今作での音のやりとりも洗練を極め、互いに呼応しあう瞬間瞬間にその充実ぶりが伺える。前作ではあえてジャズのセオリーを無視するなど、多少の違和感も含め実験的な要素が随所に盛り込まれていたが、本作にまとめられた楽曲群はマーク自身が“バンドの音の写真(sonic photograph of the band)”と呼ぶに相応しく、音楽やジャズと一体化した自然体の彼らの姿を捉えたものとなっている。

(1)「Mischief」

Mark Guiliana プロフィール

1980年、アメリカ合衆国ニュージャージー州生まれの独創的なドラマーであるマーク・ジュリアナは、古典的なアコースティック・ジャズ、革新的なエレクトロニック・ミュージック、またはネクストレベルのロックを演奏するドラマーとして常にその動向が注目されている。

これまでに様々なプロジェクトに参加しており、その度に大きな話題を呼んできた現代ジャズ・ドラマーの最重要人物だ。イスラエル出身のベーシスト、アヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)のトリオへの参加や、ピアニストのブラッド・メルドー(Brad Mehldau)とのエレクトリック・デュオ『Mehliana』、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の遺作となった『★(Blackstar)』への参加、そしてアゼルバイジャンの新進気鋭のピアニスト/作曲家イスファール・サラブスキ(Isfar Sarabski)との共演などその活動領域は幅広い。

妻はジャズ・ヴォーカリストのグレッチェン・パーラト(Gretchen Parlato)。

Mark Guiliana – drums, percussion
Chris Morrissey – bass
Shai Maestro – piano
Jason Rigby – tenor saxophone, percussion

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