- 2026-08-27
- 2026-08-28
ジャズに関する90年の謎を紐解く。「If I Should Lose You / If I Should Loose You」問題
ジャズを聴いていると、たまに妙なところで引っかかることがある。 たとえば、有名なジャズ・スタンダード 「If I Should Lose You」 などはその典型だ。
ジャズを聴いていると、たまに妙なところで引っかかることがある。 たとえば、有名なジャズ・スタンダード 「If I Should Lose You」 などはその典型だ。
イタリアのピアニスト/作曲家エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)が変則ピアノトリオで録音した2000年のアルバム『Racconti mediterranei』を聴き返している。サルヴァドール・ソブラルが2017年のユーロビジョン・ソングコンテストの授賞式で無邪気に言い放った言葉を借りれば、“内容のほとんどない、使い捨ての無意味な音楽が蔓延するこの世界”なのだからこそ、ときどきはこういう本物の音楽に立ち返り、体の芯から暖かく沸き立つような人間らしい感情の震えに身を任せたくなるのだ。
1990年代初頭にニューヨーク・ブルックリンで結成されたジャズファンク集団、ブルックリン・ファンク・エッセンシャルズ(Brooklyn Funk Essentials, 略称:BFE)。メンバー変遷を重ねながら30年以上に渡り活動を続ける彼らが、通算8枚目となる新譜『Black Butterfly』をリリースした。ニューヨークのクラブ文化を中心に、ファンク、ヒップホップ、ジャズ、ソウル、レゲエ、ダブ、ラテン音楽、スポークン・ワードなどを自在に混ぜ合わせるグループ初期からの精神性を継承しつつ、欧州出身のメンバーが中心となった多国籍の視点から現代社会の状況を反映したアルバムとなっている。
日曜の夜に、お酒を飲みながらモニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)の歌をじっくりと聴く、というのは最高の幸せであり、贅沢なのではないだろうか。彼女の新作『Senhora das Canções - Um Tributo a Elizeth』を聴きながら、まず最初にナイロール・プロヴェータ(Nailor Proveta)のあたたかなクラリネットのトリルが聴こえ、しばらくしてモニカの穏やかで情緒に富んだ歌と、それを追いかけるようなテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)のフルートが耳にゆっくりと流れ込んでくる。あまりに美しい旋律の流れと、モニカの歌を最大限に聴かせつつ細部まで妥協しないアレンジの妙技に心が惹かれる。つづく軽やかなサンバ(2)「Seresteiro」が流れると、込み上げるような想いとともに、冒頭のような多幸感を感じた。
スペイン・カタルーニャ州リェイダを拠点とするシンガーソングライター、クララ・ビニャルス(Clara Viñals)によるプロジェクト、レナルド&クララ(Renaldo & Clara)が通算5作目となるアルバム『L'encant』をリリース。前作のエレクトロ・ポップを継承しつつ、キャリア初期の素朴なフォーク・ポップの感覚を取り戻したような、あたたかくレトロ・フューチャーなサウンドが心地いい良作だ。
ガブリエル・ガルシア=マルケス著『百年の孤独』の複雑な家系図を読み解くための、ビジュアル年表を作成しました。この記事では、『百年の孤独』とはそもそもどういう作品なのかや、今回公開したページの制作背景についてお伝えできればと思います。
カナダ出身のドラマー/作曲家アンソニー・ファング(Anthony Fung)の7枚目のリーダー作『Common Language』。彼の従来の作品で見られたホーン主体のコンテンポラリー・ジャズから一歩進み、ギタートリオという極めてシンプルな編成を軸に据え、ジャズの本質である“共通言語”、つまり言葉ではなく即興演奏による相互理解を追求している。
つい先日(2026年7月24日)、彼自身の悲願であったというサンバ・アルバムをリリースしたイヴァン・リンス(Ivan Lins)だが、そのわずか1ヶ月後に彼関連の新たなアルバムが届いた。ファンにとっては夢のような話だ。なぜなら、今作『Banda Mandacarinho convida Ivan Lins』はイヴァン・リンスの往年の名曲たちに焦点が当てられ、新たなアレンジで彼の歌が聴けるのだから…。
オーストリア・ウィーンを拠点とするジャズ集団シェイク・スチュー(Shake Stew)は、2016年の結成以降、その先進的な音楽性で注目を浴び、とりわけクラウトロックの反復するリズムやサイケデリックな感覚と現代ジャズやアフロビートなどを融合させた“クラウトジャズ”の代表格として称賛を浴びてきた。結成10周年を記念して制作された2枚組大作『TEN ONE TWO』は、そうした彼らの歩みを総括すると同時に、次の10年へ向けた宣言でもある。
現代ブラジル器楽音楽を代表する4人──、ベース奏者のブルーノ・ミゴット(Bruno Migotto)、ギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)、ドラマーのエドゥ・ヒベイロ(Edu Ribeiro)、そしてアコーディオン奏者トニーニョ・フェハグッチ(Toninho Ferragutti)が、ECMレーベル作品を多数録音していることで知られる南フランスのスタジオ「La Buissonne」に集い録音したアルバム『O Tempo das Cores』をリリース。洗練された音楽性のなかに暖かく息づく、ブラジルらしい陽光が散りばめられた傑作だ。
映画『ニホンジン』を観たあとで、原作小説『ニホンジン』を読むと、かなり印象が変わる。ヒデオ、ノボル、ハルオといった人物は共通しているが、人物関係や出来事には大きな違いがある。映画では整理された家族関係が、原作ではもっと複雑で、そこには映画でほとんど描かれなかった人物たちの人生もある。セリア・カトゥンダ監督によるアニメーション映画『ニホンジン』は、原作をそのまま映像化した作品ではない。映画を観たからこそ気づける、原作との違い。ここでは、その違いを中心に『ニホンジン』を紹介してみたい。
イラン出身のクラリネット奏者シャブナム・パルヴァレシュ(Shabnam Parvaresh)率いる実験的ジャズトリオ、シーン・トリオ(Sheen Trio)の新譜『Transitory』が面白い。イギリス出身のギタリスト、ウラ・マーティン=エリス(Ula Martyn-Ellis)と、ドイツ出身ドラマーのフィリップ・ブック(Philipp Buck)という国籍や文化を超えたトリオで、構造的な側面と即興的な側面を自在に行き来し、不安定な現代社会の混乱と、それでも未来へと向かう希望のエネルギーを象徴するような音楽を奏でる。
「最近、音楽の価値が下がったように感じる」 日々音楽を探し、聴き、そしてムジカテーハを通じて発信をしながら、最近そんなふうに感じることがあります。
2026年に登場したラッパーのホームボーイ・サンドマン(Homeboy Sandman)とプロデューサーのジャック・スプラッシュ(Jack Splash)とのコラボ・アルバム『Resonance Frequency』は、ジャズ・ヒップホップの長い系譜の最新章として必聴の作品だ。